東京における市街地整備の実施方針 公と民の連携によって実現する質の高いまちづくり(骨子)
1 策定の背景とねらい
○都は、平成21年7月に「東京の都市づくりビジョン」(以下「都市づくりビジョン」という)を改定し、東京の都市づくりが目指すべき都市像や施策の方向性を提示
○「都市づくりビジョン」の将来像を実現していくためには、残された基盤の整備や防災性の向上に加え、環境・緑や景観など新しい要素を重視した都市づくりが必要
○今後の市街地整備において都が重視する方向や都が果たす役割等を明らかにすることにより、広く地元自治体や民間事業者等に対し都市づくりへの意識の醸成や具体的な行動を促進
2 今後の市街地整備のあり方
2-1 基本的な考え方
○公と民が地域の目指すべき将来像を共有し、適切な役割分担と連携によって質の高いまちを実現
○そのため、公的主体が民間部門に働きかける視点、基盤と宅地を相互に関連付けて整備する視点、合意形成段階から事業完了後の管理・運営までを一体と捉える視点を一層重視
2-2 市街地整備の目標
○今後更なる東京の成熟に向けて、「活力・利便」、「防災」に加え、「環境(緑・低炭素)」、「景観」の4点を今後の市街地整備の目標と定め、質の高い市街地を形成
2-3 戦略の再構築
限られた財源で効果的に市街地整備を進めるため、これまでの発想や進め方の見直し
- 地区の重点化と時間管理の重視
政策上重要な地区に事業を重点化し、時間軸を重視したプロジェクト管理を推進 - 公民の一層の連携と民間の活用
民間部門が事業展開しやすい環境を整備 - エリアマネジメントの普及・促進
管理・運営段階における民間部門の取組を奨励し、良好な市街地を維持・増進
3 施策・事業の重点化
【重点(1)】重要な基盤整備を促進させる
三環状道路や骨格幹線道路等の整備と一体となって市街地整備を行うことで、利便性の向上や環境負荷の低減、都市活力の維持・発展を図る。
(例)環状第二号線新橋・虎ノ門地区、外環道ジャンクション周辺地区 等
【重点(2)】拠点等の形成を先導する
都市機能を更新・集積させる市街地整備を行うことによって、国際競争力を備えた中核拠点や暮らしやすい生活拠点の形成を促進する。
(例)大手町一丁目地区、羽田空港跡地 等
【重点(3)】国公有地の活用により都市機能の更新を図る
低未利用や遊休地となっている国公有地を活用した市街地整備を行うことによって、地域の利便性や安全性を向上させる。
(例)池尻二丁目地区、立川基地跡地昭島地区 等
【重点(4)】道路整備と沿道まちづくりを一体的に進め防災性の向上を図る
都市計画道路を骨格とする延焼遮断帯の形成と地区計画の策定等によって、災害に強く地域にふさわしいまち並みを形成する。
(例)東池袋地区、大山中央地区 等
※市街地整備の事業プロジェクトを進めていく際には、地区内のみならず地区周辺にも十分に配慮し、環境負荷が少なく魅力とにぎわいを備えたまちづくりを進める。
4 都が果たすべき役割
総合調整機能の強化
○都は以下のような「総合調整機能」を一層強化し、都民、地元自治体、民間事業者等が主体となって進めるまちづくり・市街地整備を支援していくことを基本とする。
関係者の利害を調整し、広く意見を聴きながら計画をとりまとめる機能
個別事業プロジェクトの実施を支援
事業実施により蓄積してきた経験やノウハウ及び技術力を備えた人材の活用
○また、事業の推進に必要な制度の改善、財源の確保などを国に求める。
5 事業を推進する仕組みの構築
制度の改善
特定目的会社(SPC)の市街地再開発組合への参加 等
財源の確保
東京の特性を踏まえた適切な事業評価による国費の確保 等
推進体制の強化
地域主体によるエリアマネジメント活動への支援、都が有する技術力の提供 等