よくあるご質問(事業の仕組み)
目次
1.事業の仕組みについて
1-1 選手村の整備はどのような仕組みで行われているのですか
- 選手村の整備は、東京2020大会までの限られた時間の中で、選手の宿泊施設となる21棟の住宅などを確実に完成させる必要があります
- そのため、大会時に選手の宿泊施設となる建物等については、市街地再開発事業を実施し、特定建築者制度を活用して、民間事業者により全ての建築物の整備を進めています
- 大会期間中は、住宅棟(板状)は選手の宿泊施設として、商業棟は大会関連施設として使用し、大会終了後に特定建築者が改修して、一般の住宅等として分譲・賃貸していくこととしています
- なお、住宅棟(タワー)については、大会終了後に整備します
市街地再開発事業で特定建築者が整備する建物
2.レガシーについて
2-1 レガシーとなるまちづくりとはどのようなものですか
平成28年12月策定の「2020年に向けた東京都の取組‐大会後のレガシーを見据えて‐」に定められた、以下の3つのコンセプトに沿ったまちづくりを進めています
- 多様な人々が交流し、快適に暮らせるまちに
- 水と緑に親しみ、憩いと安らぎが感じられるまちに
- 新技術の活用により、環境に配慮し持続可能性を備えたまちに
- 「2020年に向けた東京都の取組‐大会後のレガシーを見据えて‐」についてはこちら
2-2 レガシーの内容はどのような経緯で決められたのですか
- 都では、知事をトップとする「東京オリンピック・パラリンピックレガシー委員会」(以下「レガシー委員会」という。)において、オリンピックレガシーの検討を行いました
- 選手村についても、この「レガシー委員会」の中で検討を進め、事業性を踏まえた住宅や地域の魅力を高めるまちづくりのあり方など、レガシーの具体化に取り組みました
3.事業協力者について
3-1 事業協力者とは何ですか
- 事業協力者とは、東京2020大会の選手村及びレガシーについて、都と共同して検討した民間事業者のことです
- 事業協力者については、東京2020大会後の選手村におけるまちづくりの整備計画策定の段階から、民間事業者のノウハウを取り入れるため、選手村の整備及び東京2020大会後のまちづくりについて検討、提案等の協力、支援を求めることを目的に、公募、決定を行いました
4.特定建築者について
4-1 特定建築者制度とは何ですか
- 市街地再開発事業において、本来施行者が行うことが原則の再開発ビルの建築を、施行者に代わり民間事業者に行わせることができる制度です
- この制度により、民間資金やノウハウを積極的に活用することができるようになり、より魅力的で処分性の高い建物を建築し、事業を円滑に推進することができます
4-2 なぜ民間事業者が選手村の建設をしているのですか
- 2013年1月に東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会が提出した「立候補ファイル」において、選手村は東京都の監督の下、民間事業者が建設すると規定されています
- こうしたことを踏まえ、民間の資金とノウハウを有効に活かせる、市街地再開発事業における特定建築者制度を採用しています
- また、立候補ファイルでは、「民間事業者は、後利用計画に合わせて、住宅を改装し、分譲又は賃貸することで開発資金を回収する」ことも規定しています
- 立候補ファイルについてはこちら
4-3 特定建築者はどのような経緯で決まったのですか
- 特定建築者の選定に当たっては、過去の分譲マンションの供給実績などの条件を設定した上で、都市再開発法に基づき、平成28年5月から約2か月、公募を行った結果、1グループから応募がありました
- 応募に際しては、建築計画書、管理処分に関する計画、敷地の譲受希望価格及び資金計画書等が提出されました
- この応募者から提案のあった建物配置計画等の企画と敷地譲受希望価格について、都市再開発法に定める規準により設置した「特定建築者選考委員会」において、不動産や都市計画の学識経験者などの委員が適正に審査した結果、この応募者を同年7月に特定建築者予定者として選定し、9月に特定建築者として正式に決定しました
4-4 東京都と特定建築者の役割はどのように分けられているのですか
- 東京2020大会までの限られた時間の中で、選手村の整備を確実に遂行するためには、道路・盛土などの基盤整備工事と、選手の宿泊施設となる住宅棟などの建築物の工事を、都が施行主体となり、一体的に工程管理することが重要です
- 都の工程管理のもと、全体工程のうち、住宅棟などの整備については、民間事業者の資金と豊富なノウハウを活用する特定建築者制度を適用し、都による事業全体のコントロールのもとに整備を進めています
4-5 特定建築者が提出した資金計画書とはどのようなものですか
- 特定建築者公募の際の募集要領において、資金計画書を提出するよう規定しています
-
資金計画書については、主に以下のような項目が分かるように作成することを求めています
・収入(分譲及び賃貸)
・原価(建築工事費、実施設計費、用地費、環境性能、エネルギー関係に関する経費、販売経費、各種手続きに要する経費、警備に要する経費 等)等
5.敷地譲渡契約・敷地譲渡金額について
5-1 敷地譲渡とは何ですか
- 敷地譲渡とは、敷地の所有権を譲り渡すことをいいます
- 選手村では、都市再開発法の規定に基づき、特定建築者制度を導入して市街地再開発事業を進めています
- 都市再開発法においては、施行者は「特定建築者が建築計画に従い特定施設建築物の建築を完了したと認めるときは、速やかに、第九十九条の二第三項の規定により当該特定建築者が取得することとなる特定施設建築物の全部又は一部の所有を目的とする地上権又はその共有持分を譲渡しなければならない」とされています
- 従って、選手村では、都が特定建築者による建築工事の完了を確認し、特定建築者が敷地譲渡金額の納入を完了したとき、敷地の所有権が移転することを敷地譲渡契約に定めています
5-2 敷地譲渡契約はいつ結ばれたのですか
- 特定建築者との敷地譲渡契約は、平成28年12月5日に締結されました
- なお、敷地譲渡契約締結までの経緯は以下のとおりです
平成28年4月26日 | 施行者が作成した権利変換計画の東京都知事認可(特定建築者が取得する床面積等が決定) | |
5月13日 | 特定建築者の募集開始(募集要領において敷地譲渡契約締結について規定) | |
7月28日 | 特定建築者予定者の決定 | |
8月29日 | 特定建築者予定者と特定建築者の業務に関する基本協定締結 | |
9月28日 | 特定建築者の決定(都市再開発法の規定による都知事承認) | |
12月5日 | 敷地譲渡契約締結 |
5-3 敷地譲渡契約にはどのようなことが規定されていますか
東京都と特定建築者との敷地譲渡契約では以下の項目を規定しています
<敷地譲渡契約の内容(主な項目)>
- 目的:敷地の譲渡に関する必要な事項を定め、事業の円滑な推進を図ること
- 対象となる敷地及び敷地譲渡金額:
- 著しい収益増となることが明らかとなった場合、敷地譲渡金額の変更に関する取扱いについて、別途協議すること 等
- ※各街区の敷地譲渡金額については下図をご覧ください
- 特定施設建築物工事の完了公告の日:
- 令和8年3月末日を超えてはならないこと 等
- 契約保証金:各街区の敷地譲渡金額の1割を、契約締結時に支払うこと 等
- 所有権の移転:東京都が完了を確認し、特定建築者が敷地譲渡金額の納入を完了したとき、敷地の所有権が移転すること
5-4 土地価格はどのように算定しているのですか
- 選手村(晴海五丁目西地区)の土地価格については不動産鑑定士が土地価格調査を実施しました
- 本件では、整備する建物が一般住宅として販売・利用される前に、東京2020大会の選手村として一時的に使用されるという特殊性(選手村仕様による建物の整備、一時使用による事業期間の長期化等)があることから、本件と類似する取引事例がありません
- そのため、不動産鑑定士は、国土交通省の「不動産鑑定評価基準」で示された“開発法”という手法を用いて土地価格の算定を行いました
- 開発法とは、開発事業者に生じる収入と支出を現在価値に換算し、その差額から土地価格を算出する不動産評価方法です
≪土地価格算定の要素≫
5-4-1 開発法による土地価格の算定方法
5-4-2 本事業における開発法での算定イメージ(クリックして拡大)
現在価値についてはこちら
5-4-3 選手村の特殊要因
- 選手村の整備では、土地価格の算定に影響を及ぼす以下の特殊要因があります
- 東京2020大会の期間中に選手村として施設を使用し、大会終了後、選手村としての仕様から一般住宅としての仕様に改修を行った上で、分譲又は賃貸を行うことから、通常の住宅建設と異なり、事業期間が長期に及びます
- Tokyo 2020 アクセシビリティ・ガイドラインを満たす高いバリアフリー性能を有する施設を建設する必要があります
- 都は、こうした特殊要因を踏まえて、土地の価格を定められた基準に基づいて算定しました
アクセシビリティ・ガイドラインについてはこちら
5-5 敷地譲渡金額はどのような経緯で決められたのですか
5-6 敷地譲渡金額を変更する場合もあるのですか
- 本事業では、整備の途中で大会期間中に選手村として使用するため、事業期間が長期にわたることから、将来の景気変動リスクに対応する必要があります
- そのため、平成28年12月5日に締結した敷地譲渡契約において、特定建築者を公募した際に事業者から提出された資金計画に比べ、「著しく収益増」となることが明らかとなった場合には、敷地譲渡金額の変更について協議する条項を定めています
≪敷地譲渡金額の変更に関する項目≫
- 5-6-1 選手村の敷地譲渡金額の変更に関する条文を定めたのはいつですか
- 5-6-2 選手村の敷地譲渡金額の変更に関するルールはどのような内容ですか
- 5-6-3 選手村の敷地譲渡金額の変更のルールはどのような考え方で決められたのですか
- 5-6-4 敷地譲渡金額の変更により東京都にはいくら増収があるのですか
5-6-1 選手村の敷地譲渡金額の変更に関する条文を定めたのはいつですか
- 以下の文書において、敷地譲渡金額の変更に関して規定しています
平成28年5月13日
特定建築者募集要領
平成28年12月5日
敷地譲渡契約書(5-3街区、5-4街区、5-5街区、5-6街区、5-7街区)
(1)甲の事由により事業計画を変更する場合
(2)乙が特定建築者応募時に提出した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合」
令和元年5月8日
晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業(5-4街区・5-5街区・5-6街区)の敷地譲渡金額の変更に係る算定基準に関する確認書
令和3年10月22日
晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業(5-3街区、 5-7街区)の敷地譲渡金額の変更に係る算定基準に関する確認書
※特定建築者が賃貸を行う街区については、賃貸運営による収入を売却収入相当に置き換えて売却総収入額を算出
5-6-2 選手村の敷地譲渡金額の変更に関するルールはどのような内容ですか
- 選手村の敷地譲渡金額の変更については、特定建築者を公募した際に事業者から提出された資金計画(以下、「資金計画」と言います)に比べ、著しく収益増となることが明らかとなった場合に、協議することとしています
- 5-4街区・5-5街区・5-6街区(以下、「分譲街区」と言います)については、分譲街区の全ての住戸の引き渡しが完了し、収益が確定した時点で、敷地譲渡金額の変更の協議を行います
- 5-3街区(以下、「賃貸街区」と言います)については、特定建築者による施設の賃貸運営が安定した時期に、敷地譲渡金額の変更の協議を行います
- 5-7街区(以下、「商業街区」と言います)については、特定建築者による各施設の賃貸運営が安定してから1年の期間における平均月額賃料単価を算出した時期に、敷地譲渡金額の変更の協議を行います
- 資金計画に示された予定収入の1%を超える増収があった場合に、この「予定収入の1%を超える増収」を「著しい収益増」として扱い、著しい収益増から経費等を除いて、都と特定建築者とで折半することとしています
- 敷地譲渡金額の変更に関するルールのイメージ
5-6-3 選手村の敷地譲渡金額の変更のルールはどのような考え方で決められたのですか
- 選手村の敷地譲渡金額の変更を行う場合の取扱いは、以下のような考え方で決められています
1 著しい収益増(予定収入の1%)について
- 敷地譲渡金額の変更について協議するには、どの程度の収益増を「著しい収益増」とみなすのかを設定する必要があります
- 設定にあたっては、東京都の工事請負標準契約書に定められた「全体スライド条項」という、契約締結後、日本国内における賃金水準又は物価水準の変動により契約金額が不適当になったと認めたときは、契約金額の変更を請求できるとする制度を参考としました
- 全体スライド条項では、契約相手から請求を受けた者は、変動前残工事金額と変動後残工事金額の差額のうち、変動前残工事金額の1%を超える部分について、契約金額変更に応じなければならないとされています
- これは、契約金額をとりまく環境が変化した場合、契約金額の変更対象とすべき範囲は、従前と従後との差額のうち、従前の価格の1%を超える部分としたものです
- 従って、選手村では、著しい収益増があった場合に変更対象とすべき範囲は、資金計画における予定総収入(従前)と実際の総収入(従後)との差額のうち、従前の予定総収入の1%を超える部分として整理しました
2 東京都と特定建築者の配分比率(50%)について
- 配分比率については、参照できる統一的な基準がないため、特定建築者と協議して設定しました
- 実務的に用いられる不動産鑑定手法及び東京都の契約制度の1つである契約後VE等を参考に、多角的な視点から検討し、「折半」を配分比率としました
- 配分比率の参考
・不動産の鑑定手法
・契約後VE
3 経費等について
・販売経費は、特定建築者が提出した資金計画における、分譲総収入に対する販売経費の比として考えます
・環境対策補助金は、環境先進都市のモデルの実現に資する取組みに関する公的支援に相当する額を言い、実際に公的資金が得られ得た分は、除外の対象から除きます
・除外する経費等は、特定建築者が賃貸運営をするためにかかる経費等です
- 分譲街区の場合、「著しい収益増」から除く経費等は「販売経費」と「環境対策補助金」の2つです
- 賃貸街区及び商業街区の場合、賃貸運営による収入を売却収入相当に置き換える際に経費等を除きます
5-6-4 敷地譲渡金額の変更により東京都にはいくら増収があるのですか
- 選手村の敷地譲渡金額の変更については、各街区の収益が確定した時点で、資金計画に示された予定総収入の1%を超える増収があった場合に変更の協議をしていくこととされています
- 特定建築者は分譲街区のマンション分譲を完了しておらず、また、賃貸街区および商業街区の賃貸運営も開始していないため、いずれの街区においても、最終的な総収入の増収額が確認書で規定する「著しい収益増」に該当するか否かは、現時点において判断できません
6.その他
6-1 事業に関する東京都の文書は全て公開されているのですか
- 文書の開示は、東京都情報公開条例に基づき適正に行っています
- 非開示としている部分は、具体的には、民間事業者の自由な契約の妨げとなる情報や関係機関との検討、協議の適正な遂行を妨げるおそれのある情報などです
- なお、事業の進行等に伴い、客観的な事実関係が変化し、一部の記載事項に関する非開示事由が解消された場合には、その都度開示の対象に含める対応をとっています
6-2 選手村の場所はどのようにして晴海に決まったのですか
- 2013年1月に東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会が提出した「立候補ファイル」において、晴海ふ頭に選手村を提供することが規定されています 立候補ファイルについてはこちら
6-3 大会後の住宅は都営住宅ですか
- 東京2020大会後の選手村については、海に開かれ、都心に近接した晴海の立地特性を生かし、多様な人々が交流し、都市生活を楽しむことができる成熟したまちを目指しています
- 具体的には、単身者や子育てファミリーに加え、シェアハウスや高齢者向け住宅など、多様なニーズに対応した幅広い住戸バリエーションを提供し、快適な居住空間を提供します
- これらの住宅については、民間事業者である特定建築者が、その資金やノウハウを活用して整備し、大会終了後、分譲又は賃貸することとしています
6-4 住宅の販売は東京都が行うのですか
- 住宅の販売については特定建築者が行っています
6-5 敷地譲渡金額の変更は選手村だけのルールですか
- 敷地譲渡金額の変更については、都が施行する他の市街地再開発事業でも定めており、選手村だけのルールではありません
- 敷地譲渡金額の変更に関する条項は、大橋地区1-1棟(平成20年10月公募)の際に初めて採用しました
- 当該公募の際リーマンショックにより急激な景気の悪化が生じ、その影響を受けた敷地譲渡価格とならざるを得なかったことから、市況が回復した場合に譲渡価格を増額変更する条項を設定したものです
- 以後、大幅な景気変動が予測される場合や、事業期間が長期にわたり不動産市況や工事費動向の見通しが困難で景気の変動リスクに対応する必要がある場合などに同様の条項を付記しています 都が施行する市街地再開発事業の敷地譲渡金額の変更に関するルールについてはこちら(