2.定期調査・検査制度改正の内容

2.定期調査・検査制度改正の内容

2‐1 定期報告制度の見直しについて(令和7年7月施行)

■国の告示改正について

 令和6年国土交通省告示第974号(令和6年6月28日公布、令和7年7月1日施行)及び令和7年国土交通省告示第53号(令和7年1月29日公布、令和7年7月1日施行)により、定期調査・検査等の項目、事項、方法及び結果の判定基準並びに調査結果表等の見直しが行われました。
 詳細は下記の国土交通省HPのリンクよりご確認ください。

●建築基準法に基づく定期報告制度について - 国土交通省
建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、方法及び結果の判定基準並びに調査結果表を定める件等の一部を改正する告示(令和6年国土交通省告示第974号) 事務連絡 ※令和6年6月28日公布 令和7年7月1日施行
建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、方法及び結果の判定基準並びに調査結果表を定める件等の一部を改正する告示(令和7年国土交通省告示第53号) 技術的助言 事務連絡 参考資料 周知チラシ ※令和7年1月29日公布 令和7年7月1日施行


■東京都の改正方針について

 国の告示改正を受け、東京都建築基準法施行細則及び東京都告示について令和7年7月1日に改正・施行となります。原則は国の改正内容を踏襲しますが、都独自の措置として、「常時閉鎖式防火扉」について従来どおり特定建築物定期調査の対象とし、防火設備定期検査では報告を求めないこととします都細則・告示改正のその他の改正項目については、下表をご参照ください。

特定建築物

・「常時閉鎖式防火扉」について、従来どおり特定建築物定期調査による報告を求める。【都独自の措置】
・「換気設備」における「物品放置の状況」について、自然換気設備は、従来どおり特定建築物定期調査による報告を求める。【都独自の措置】

・避難経路上の「窓先の空間」の確保に関する調査を追記。【都独自の措置(東京都建築安全条例の改正内容反映)】

防火設備 ・「常時閉鎖式防火扉」について、防火設備定期検査による報告を求めない。【都独自の措置】
建築設備 ・「換気設備」及び「非常用の照明装置」において、「物品の放置の状況」を検査項目に追加。【都告示指定の地下街にも改正内容反映】
・「目視により確認する。」とされている項目について、「目視又はこれに類する方法により確認する。」に改正。【都告示指定の地下街にも改正内容反映】
 
■東京都の細則・告示について

 令和7年7月1日施行の細則・告示に関しては、下記の通りの公布・施行となります。改正内容に関しては、東京都公報(令和7年6月30日発行分)もあわせてご参照ください。

・東京都建築基準法施行細則(昭和二十五年東京都規則第百九十四号)東京都規則第百三十一号 令和7年6月30日公布 令和7年7月1日施行

・東京都建築基準法施行細則による調査の項目等(平成二十年東京都告示第四四三号)東京都告示第七百六十五号 令和7年6月30日公布 令和7年7月1日施行

 調査結果表(別記様式)(旧) 調査結果表(別記様式)(新) 周知チラシ

・東京都建築基準法施行細則による検査の項目等(平成二十年東京都告示第四四四号)東京都告示第七百五十号 令和7年6月30日公布 令和7年7月1日施行

令和7年7月1日施行の調査・検査結果表は7月1日以降に調査・検査する物件に対して使用し、6月30日以前に調査・検査した物件については、従前の調査・検査結果表を使用してください。

2‐2 今回の法改正についてのQ&A

■今回の法改正についてのQ&A

 今回の法改正に伴う主なご質問について、お答えします。なお、本Q&Aは東京都が特定行政庁となる建築物を対象としています。特別区・11市が特定行政庁となる場合については、お手数ですが、各特定行政庁にお問い合わせください。

No. 質問 回答

常時閉鎖式防火扉は防火設備定期報告で報告しなければならないのか?

東京都では、従来通り特定建築物定期調査にて報告してください。

防火設備定期報告にて常時閉鎖式防火扉を点検してしまった場合、報告は可能か?

報告を妨げるものではありませんが、東京都では、常時閉鎖式防火扉は特定建築物定期調査の対象としているため、次回の報告以降、特定建築物定期調査で報告してください。

特定建築物定期報告の対象ではなく、防火設備定期報告のみ対象となっている建築物について、改正後の常時閉鎖式防火扉の取り扱いは?

都内で防火設備検査のみ指定されている建築物は、用途コード「29」「49」に限られますが、これらは引き続き常時閉鎖式防火設備は検査対象外です。

常時閉鎖式防火扉について、特定建築物定期調査ではなく防火設備定期検査にて点検をしてしまった場合、特定建築物定期調査では要是正の判定となってしまうか?

報告書で点検について未記入の場合や、建築設備等検査員による記入の場合は、要是正の判定となりますので、次回の報告以降、特定建築物定期調査で報告してください。

防火設備が常時閉鎖式防火設備のみだったため、これまでは防火設備定期検査の対象外だったが、改正後は防火設備定期検査で提出する必要があるのか?

東京都では、従来通り特定建築物定期調査にて報告してください。

今回の改正により、特定建築物定期調査の常時閉鎖式防火扉は、「扉の取付けの状況」も調査が必要になるのか。

必要です。今回の国告示改正では常時閉鎖式防火設備を防火設備定期報告で検査する際に「扉の取付けの状況」を目視または触診により確認する必要があるとしており、特定建築物で調査する場合にも同様の調査を求めています。

今回の改正により、常時閉鎖式防火扉については、建築設備等検査員による検査を実施し、特定建築物定期調査の結果に記載することは可能か。

特定建築物において常閉防火扉に係る項目を調査することになるため、建築物調査員が実施することとなり、建築設備等検査員により検査を実施することはできません。

今回の法改正で非常用の照明器具については、自動検査機能による合理化が図られた。地下街に設ける非常用の照明設備についても同様でよいか。

国の告示において、通常よりも高い照度(10ルクス以上)を確保することが求められていることから、当該部分の合理化は行っておりません。

 

 

記事ID:039-001-20241022-009953