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治水の必要性

昭和22年のカスリーン台風

 埼玉県大利根町(現加須市)において、利根川堤防が約350メートルにわたって決壊、関東平野は大洪水に見舞われました。

埼玉県東村(大利根町)利根川右岸堤防決壊

 溢れた水は、東京都内まで押し寄せ、東京都東部地域でも甚大な被害を受けました。

葛飾区・江戸川区内の浸水状況 本田四ツ木町付近・東金町七丁目付近

新小岩~小岩間 避難する住民

23区東部地域(足立区、葛飾区、江戸川区)

 地盤が低く、水害には脆弱な地形となっています。
 仮に埼玉県内で堤防が決壊した場合、下流の東京都内でも、大きな被害が及ぶものと想定されています。

地盤高概念図

 浸水深が深く、避難しなかった場合に、死者の発生率が極めて高くなる地域があります。
 (抜粋 大規模水害対策に関する専門調査会報告)

江戸川区役所に設置された荒川の水位計

台風18号(平成21年10月8日) 最高外水位AP+2.82(8時10分)

利根川の堤防が決壊してしまったら、カスリーン台風当時より、被害は拡大すると予想されています。

昭和22年の洪水氾濫実績(破堤地点134.4キロメートル(右岸)、氾濫面積約440平方メートル、浸水域内人口約60万人、被害額約70億円)現状氾濫計算図(破堤地点136キロメートル(右岸)、氾濫面積約530平方メートル、浸水域内人口約230万人、被害額約34兆円)

中央防災会議の大規模水害対策に関する
専門調査会資料をもとに作成 (平成18年8月)

八ッ場ダムが建設される吾妻川流域には、洪水を調節するダムがありません。

 雨の降り方は様々です。どこにどのくらい降るのか、限定することはできません。

 利根川では、上流部で雨水を溜めるダムと、下流部の堤防等を合わせて整備することで、流域全体の治水安全度を高めます。
 八ッ場ダムの完成により、利根川上流の三つの流域でダムができることになり、様々な降雨パターンに対応して、効果が発揮されます。

八ッ場ダムは、利根川上流にある既設ダム群全体の約6割の能力を有する、効果の高い施設です。

【八ッ場ダムの治水効果】

八ッ場ダムは、住民の生命や財産、首都東京の都市機能を洪水から守るためにも、必要不可欠な施設です。

利根川水系の戦後の主な洪水被害

洪水発生年 被害状況
昭和22年9月
(カスリーン台風)
1都5県、浸水戸数303,160戸、家屋流出倒壊23,736戸、家屋半壊7,645戸、死者1,100人、負傷者2,420人、浸水田畑176,789ha
昭和24年9月
(キティ台風)
1都5県、床上浸水4,047戸、床下浸水2,571戸、家屋流出倒壊639戸、半壊1,044戸、死者10人、負傷者118人
昭和34年8月
(台風7号)
各所で護岸、水制の流出、田中菅生調節池の越流堤の破壊
昭和56年8月
(台風15号)
1都5県、床上浸水269戸、床下浸水646戸、全半壊3戸、農地1,568ha、宅地その他120ha
昭和57年8月
(台風10号)
1都5県、床上浸水137棟、床下浸水1,478棟、全半壊3棟、農地234ha、宅地その他130ha
昭和57年9月
(台風18号)
1都5県、床上浸水7,242棟、床下浸水27,649棟、全半壊3棟、農地4,273ha、宅地その他4,690ha
平成10年9月
(台風5号)
1都5県、床上浸水98棟、床下浸水1,176棟、全半壊2棟、農地623ha、宅地その他759ha
平成13年9月
(台風15号)
1都5県、床上浸水26棟、床下浸水114棟、全半壊0棟、農地216ha、宅地その他101ha

<出典:平成12年度までは利根川水系河川整備基本方針検討小委員会資料及び平成13年度は水害統計>

昭和56年8月洪水:小貝川が利根川の逆流の影響を受けて破堤。浸水戸数915戸、浸水面積は約1,600ヘクタール。 平成10年9月洪水:利根川の栗橋水位観測所ではカスリーン
台風以来戦後三番目の流量を記録。約1,300戸、約1,400ヘクタールの浸水が発生。

平成13年9月洪水:埼玉県加須市の利根川で、大規模な漏水被害が発生。 平成10年、13年の洪水では、地域の方々による必死の水防活動により、大事には至りませんでした。