最終更新日:令和6(2024)年12月1日
「建築物の工事における試験及び検査に関する東京都取扱要綱」に基づく試験機関(A類)及び試験機関(B類)並びに検査機関の知事登録制度
建築物の工事における試験及び検査に関する東京都取扱要綱の主旨と概要について
建築物を建築する過程では、法適合性を確認し、品質を確保するために、工事監理者及び工事施工者による様々な検査が行われます。近年、技術の高度化と細分化に伴う分業化により、工事監理者・工事施工者に委託された専門の試験や検査会社がこの重要な役割を担うようになっています。
登録制度の目的
建築物を建築する際に行われる中間検査・完了検査では、工事監理者などから建築主事等に対して建築工事施工結果報告書が提出されます。この報告書には、建築材料や接合部等の重要な試験・検査結果が記載されており、建築主事等が建築物の品質の確保を判断する際に非常に重要なものとなります。この重要な判断材料である試験・検査について、正確かつ公正に実施するための条件等を満足した試験機関及び検査機関を知事登録することにより、構造強度に関する規定の適切な運用を図り、建築物の安全性を確保することを目的としています。
登録制度制定の背景
試験機関及び検査機関を登録する制度に至った背景として、平成13年5月1日付けで「建築工事の品質確保について」を各関係団体に通知した経緯があります。
当時、阪神・淡路大震災における被害の反省から、平成12年に改正がされた施行令及び告示の仕様規定について、許容値を超える食い違いが生じている事例が少なからず見られていました。中には、超高層建築物等の大規模工事において許容値を大幅に超え、構造耐力上の安全に関わる重大な不具合も発見されています。特にこの大規模工事における事例には、鉄骨溶接部の検査内容について、検査会社から工事監理者及び工事施工者に対して不合格の報告がされ、是正がされていたにもかかわらず、工事監理者及び工事施工者がその事実及び経緯を把握していなかったという重大な問題点がありました。これらのことを解決するため、知事登録の試験機関及び検査機関には行政に対する不合格の報告などを義務付けるなど、より公平で信頼のおける試験・検査結果を得る仕組みづくりを行いました。
「試験機関とは?」
主にコンクリートの強度試験及び鉄筋圧接部の引張試験を実施する機関です。試験機関にはA類とB類があります。区分の内容は下記図のとおりです。
- 審査基準A類(/215KB)
- 審査基準B類(/284KB)
- 試験機関(A類)登録簿(/79KB)/(5KB)
- 試験機関(B類)登録簿(/95KB)/(2KB)
- 試験機関の詳細は、下記のホームページをご参照ください。
- 東京都建築材料試験連絡協議会(東試協)
「試験結果に不合格が発生したら?」
コンクリートの圧縮試験、鉄筋の引張試験に不合格が発生した場合は、登録されている試験機関から下記のフローに基づき報告があります。この報告に基づき、適切な対処を行い健全な建築物の構築を図るシステムとなっています。
「検査機関とは?」
主に鉄骨溶接部の外観検査、超音波探傷検査を実施する鉄骨溶接部検査機関と、鉄筋継手の外観検査、超音波検査を実施する鉄筋継手検査機関があります。
東京都では、鉄骨造建築物の溶接部の品質について定めた、建築基準法施行令第67条第2項の規定に基づく、平成12年5月31日建設省告示第1464号二イ(1)及び(2)に規定されるただし書きの適用にあたり、「食い違いずれの検査・補強マニュアル」(委員長:森田 耕次 千葉大学教授)に基づいて運用しています。登録された鉄骨溶接部検査機関は、このマニュアルで示した外観検査方法などを遵守し、最新の技術基準で品質管理を行っています。
また、鉄筋継手検査機関とは、平成12年5月31日建設省告示第1463号に基づく圧接継手、溶接継手、機械式継手の外観検査、超音波探傷検査及び超音波測定検査を行うための機関です。昨今、建築物の高層化等に伴い非破壊検査によって継手の性能を確認する受入検査の方法も広まってきたことなどを受け、平成27年度より開始した制度で、平成27年12月1日に第一回の都知事登録を行いました。
- 鉄骨溶接部検査機関審査基準(/229KB)
- 鉄筋継手検査機関審査基準(/249KB)
- 鉄骨溶接部検査機関登録簿(/143KB)/(4KB)
- 鉄筋継手検査機関登録簿(/112KB)/(3KB)
- 鉄骨溶接部検査機関の詳細は、下記のホームページをご参照ください。
- 東京都検査機関登録事業者連絡会(東検連)
「鉄骨溶接部の検査結果に不合格が発生したら?」
東京都では、鉄骨溶接部の不合格として「重大な不具合」を指定しています。
この指定した内容の不具合が発生した場合、登録されている検査機関から報告があります。この報告に基づき、適切な対処を行い健全な建築物の構築を図るシステムとなっています。
「鉄筋継手の検査結果に不合格が発生したら?」
東京都では、鉄筋継手の検査において、A級、SA級の性能を有する継手の超音波探傷検査及び超音波測定検査においてロット不合格があった場合、登録されている検査機関から報告があります。上記の鉄骨溶接部検査機関と同様に、この報告に基づき、適切な対処を行い健全な建築物の構築を図るシステムとなっています。